Letter 地球:スラブの幅が支配する沈み込み帯の進化と多様性 2007年3月15日 Nature 446, 7133 doi: 10.1038/nature05615 沈み込むスラブはプレート運動と地球マントルの流れに主要な駆動力を与えており、地球力学的、地震学的、および地球化学的研究によってスラブの力学的性質と沈み込みに伴う流れの解明が進んでいる。これまでの地球力学的研究では沈み込み帯を、海溝に平行な方向には無限に広がっている(すなわち2次元的)、あるいは幅は有限だが空間に固定されているものとして扱うことがほとんどであった。しかし、沈み込み帯とこれに伴うスラブは、横方向の広がりは限定されているが(250〜7,400 km)、その3次元的形状は時間と共に変化している。本論文では、沈み込み帯の曲率と時間と共に後退する傾向という、プレートテクトニクスの1次的な2つの特徴をスラブの幅が支配していることを示す。自由な沈み込みに対する3次元数値シミュレーションを用いて、海溝の移動速度はスラブの幅に反比例しており、横方向のスラブの端に対する近接度に依存していることを示す。この結果は、最大速度(6〜16 cm yr-1)はスラブの端の近傍(<1,200 km)でのみ観測されるが、端から遠いところ(>2,000 km)では後退速度は常に遅い(<2.0 cm yr-1)という、全球で観測された後退速度と一致する。スラブの幅が狭い(≤1,500 km)モデルでは後退速度は大きく、マントルウェッジ側にくぼんだ曲がった形状が発達する。中程度の幅(約2,000〜3,000 km)のスラブをもつモデルではほぼ直線状になり、後退速度はよりゆっくりとなる。幅の大きい(≥4,000 km)モデルでは、海溝の中央付近はほぼ静止し、凸状の形状が発達するが、後退速度はくぼんだ形の端に近づくにつれて増大する。また、幅の広いスラブの中心では海溝がゆっくりと前進する期間(5〜10 Myr)があることもわかった。このような幅の広いスラブの挙動は、スラブの端から遠く離れたテクトニクス的環境の結果として、アンデス中央部の造山活動を説明できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る