Letter

材料:シリコン超薄膜を使った電荷と大きさの違いに基づくマクロ分子の分別

Nature 445, 7129 doi: 10.1038/nature05532

商品化されている限外濾過膜や透析膜は、その孔径分布が広く、分離の対象として想定されている分子の大きさより1,000倍以上厚い。そのため、大きさのカットオフ特性が劣り、膜中での濾過損失が大きく濾過速度が遅い。ナノ加工された膜は、より正確に構造を制御できることから、分子の分別という用途に非常に大きな可能性をもつが、やはりマイクロメートルスケールの厚さであるために、濾過速度には限界がある。この限界は、ナノ構造をもつ新しい種類の超薄膜によって克服できる。この種類の膜は、分別される分子と同程度の約10 nmの厚さであるが、膜がもろく作製が複雑であるため、超薄膜を用いた分子の分別は困難であった。今回我々は、平均孔径を約5 nmから25 nmまでに制御できる簡単なシリコン加工技術を用いて、多孔質ナノ結晶シリコン(pnc-Si)超薄膜を開発したことを報告する。我々のpnc-Si膜は、タンパク質を保持しながら、既存の膜材料よりも1桁速い速度で小さい分子を通過させ、異なる大きさのタンパク質を生理学的条件下で分別可能で、電荷は異なるが大きさは同程度の分子も分別できる。pnc-Si膜は、厚さが15 nmしかないにもかわらず、40,000 μm2の面積にわたり支持体が不要で、塑性変形や破壊を起さずに1気圧の差圧を支えることができる。pnc-Si膜は、マクロ分子を効率よく低損失で分別できるので、膜を使ったクロマトグラフィシステムや、高効率の分別を必要とする分析用および分取用マイクロ流体システムなど、多様な新デバイスを可能にするものと期待される。

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