Letter

気候:北アメリカ中部で始新世から漸新世への遷移期に起きた気温の大きな低下

Nature 445, 7128 doi: 10.1038/nature05551

始新世から漸新世にかけての寒冷な気候への遷移(約3,350万年前)は、新生代に起きた最も顕著な気候イベントの1つである。これまで、この遷移の海洋記録については徹底的な調査が行われてきた。しかし、当時起こった大陸の気候変化に注目した研究は極めて少なく、変化の規模や時期についての結果には部分的な食い違いがある。本論文では、in vivo状態を示す歯の化石のエナメル質中の安定同位体組成と、続成作用を示す骨化石中の安定同位体組成を組み合わせることで、約4万年という高い分解能で、始新世から漸新世への遷移期における大陸気温の記録が得られた。その結果、年平均気温は約40万年にわたって8.2±3.1℃という大きな低下を示し、気温の季節変化の増大は小さかった可能性があり、遷移期間中の乾燥状態にははっきりわかるような変化はなかったことが見いだされた。この年平均気温の大きな変化は、同程度の緯度における海面水温の変化を上回り、おそらく海洋の変化に最大で40万年遅れて起こったと思われる。こうした変化は、腹足類、両生類、爬虫類の動物相が交代する一方で、この地域の哺乳類のほとんどが影響を受けなかったことを説明できる。我々の結果は、大気中の二酸化炭素濃度の顕著な低下が始新世から漸新世への遷移期の気候の寒冷化をもたらしたとするモデル研究の結果と一致している。

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