Letter 腫瘍:マウスの肝がんでp53を回復させると老化と腫瘍排除が起こる 2007年2月8日 Nature 445, 7128 doi: 10.1038/nature05529 がんは、がん遺伝子とがん抑制遺伝子の変異の組み合わせによって生じるが、確立された腫瘍の維持にどの程度がん抑制遺伝子の喪失が必要かはよくわかっていない。p53は重要ながん抑制因子であり、さまざまな細胞周期のチェックポイント、アポトーシス、あるいは細胞の老化を誘導することで、DNA損傷あるいは細胞分裂促進がん遺伝子の脱制御に応答して増殖を抑制する。その結果、p53の変異は細胞増殖や生存を高め、また、ある条件においてはゲノムの不安定性を促進したり、特定の化学療法に対する抵抗性を高めたりする。腫瘍におけるp53経路の再活性化の影響を調べるため、我々はRNA干渉(RNAi)を用いて、肝がんのモザイクマウスモデルで内因性のp53の発現をコンディショナルに制御した。p53欠損腫瘍で内因性p53をごく短期間再活性化させただけで、完全に腫瘍を退縮させることができることを示す。p53への初期応答はアポトーシスではなく、分化や炎症性サイトカインの発現増加を伴う細胞老化プログラムの誘導と関係があった。このプログラムは、in vitroでは細胞周期の停止を誘導するだけであったが、in vivoでは腫瘍細胞を標的とする自然免疫応答も引き起こし、その結果、腫瘍の排除につながった。我々の研究は、活動性の高いがんの維持にはp53の欠損が必要とされる可能性を明らかにするとともに、細胞老化プログラムがどのように自然免疫系と協調して腫瘍増殖を強力に阻止しうるかを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る