Letter 物理:物質波の力学を用いた光情報のコヒーレントな制御 2007年2月8日 Nature 445, 7128 doi: 10.1038/nature05493 近年、光で物質を、そして物質で光を操作する研究に、大きな進展がみられた。低温高密度の原子雲と相互作用する共鳴レーザー場は、特に実り多い系をもたらす。そのような光場は、原子内部の電子と強く相互作用し、光子の吸収放出の際に原子が反跳運動量をもらうことで生じる外部運動と直接的に結びつく。ボーズ・アインシュタイン凝縮体中の超低速光の伝播は、低温原子を使った共鳴光操作を極限にまで推し進めた代表例である。本論文では、低速光のパルスが、ボーズ・アインシュタイン凝縮体中で停止し保存された後、160 μm離れたまったく別の凝縮体中に再生することを示す。これは、移動する物質波に光のパルスが変換されることを通じて、情報が転送されたことを示している。光の結合場と共に、レーザープローブパルスがまず凝縮体の1つに注入され、ここで凝縮体のコヒーレント長よりもはるかに短い距離に空間的に圧縮される。結合場を遮断すると、第1の凝縮体中の原子は、定常成分と、異なる内部状態の反跳成分とを含む量子重ね合わせ状態をとる。空間的に局在した光パルスの振幅と位相は、波動関数の反跳成分に残される。この波動関数は、第2の凝縮体に伝わる。この原子の「メッセンジャー」パルスが第2の凝縮体に取り込まれるとき、この系に結合場を再照射する。プローブ光は返送され、メッセンジャーパルスは、低速光を介した原子物質波増幅過程により、第2の凝縮体の物質場にコヒーレントに足し合わされる。再生した光パルスは、反跳原子に残された振幅および位相と、再生元の凝縮体の振幅および位相との間の相対的な振幅および位相を記録する。我々の結果は、物質波の力学を用いて光情報をコヒーレントに処理できることを示すめざましい例である。このような量子制御は、量子情報処理や波動関数の「整形(sculpting)」の分野に応用できる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る