Article

発生:頭索類の体軸パターン形成と形成体の進化

Nature 445, 7128 doi: 10.1038/nature05472

脊椎動物の原腸胚の形成体(オーガナイザー)は、背側軸構造の誘導とパターン形成を行う重要なシグナル伝達センターである。形成体の進化的な起源については長年にわたって興味がもたれてきたが、まだ明らかにされていない。本研究では、頭索類ナメクジウオの原腸胚において、背腹(D/V)軸形成を行う遺伝子(例えば骨形成タンパク質(BMP群)やNodal、それらに対するアンタゴニストなど)が、それらの脊椎動物オルソログの発現を彷彿とさせるパターンで発現しており、ナメクジウオ胚でも脊椎動物と同様に、外来性のBMPタンパク質によって腹側化が起こることを示す。また、Wntのアンタゴニスト(Dkk群やsFRP2-likeなど)が前方で発現する一方で、Wnt遺伝子そのものは後方で発現しており、これは今までに知られている脊椎動物の前後(A/P)のパターン形成におけるWntシグナルの役割と一致する。これらの結果は、初期原腸胚におけるD/V軸形成とA/P軸形成の両機構が進化的に保存されていることを示唆している。近年の系統分類解析の結果は頭索類を脊索動物の系譜の基部に位置づけており、頭索類にはD/V軸とA/P軸のパターン形成に対して別個のシグナル伝達センターがあるというこの特徴は、脊索動物が進化の早い段階で獲得したものであると我々は考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度