Letter 発生:ヒストンのアルギニン残基のメチル化がマウス初期胚の多能性を調節する 2007年1月11日 Nature 445, 7124 doi: 10.1038/nature05458 哺乳類の胚は、すべて同一な細胞として発生を開始し、内側と外側の細胞が形成される時期に初めて細胞間の相違が生じると、一般に考えられてきた。しかし、最近の知見で、マウス胚細胞では早くも4細胞期に発生運命と分化能に違いがみられる可能性があることが示されている。この違いは、4細胞が形成される際の方向および順序に依存している。エピジェネティックな印が多能性の維持に関与することが示唆されていることから、我々は、このような発生上の特性がエピジェネティックな機構によって生じるのではないかと考えた。本論文では、特定のアルギニン残基のメチル化によるヒストンH3の修飾が、細胞運命と分化能に関連していることを示す。H3の特定のアルギニン残基のメチル化の程度は、内部細胞塊(ICM)および極栄養外胚葉を生じる4細胞期割球で最大であり、それらをキメラとして結合させれば完全な発生が起こる。H3のアルギニンのメチル化は、子孫細胞が壁栄養外胚葉になることが多い細胞で最も少なく、それらをキメラにしても発生は起こらない。このことから、H3のアルギニンのメチル化の程度が高い割球ほど、ICMの多能性細胞になりやすいと考えられる。我々は、各割球においてH3に特異的なアルギニンメチルトランスフェラーゼCARM1を過剰発現させてこの予測が正しいことを確認し、これにより子孫がICMに分化し、その結果、NanogとSox2の劇的な発現増加が起こることを明らかにする。したがって、今回の結果は、特定のヒストン修飾がICM発生に寄与する既知のエピジェネティックなマーカーの中で最も初期のものにあたることを明らかにし、エピジェネティックな情報の操作が細胞運命の決定に影響を与えることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る