接触と機械的な痛みを最初に感じ取るのは、最大の感覚表面である皮膚である。このような刺激を感じ取る感覚ニューロンの細胞体は後根神経節に位置し、これらのニューロンにはサブタイプがあって、特定の機械的刺激を特異的に感知する。機械感覚に必要な分子は、無脊椎動物では同定されているが、哺乳類ではこれまで見つかっていない。線虫(Caenorhabditis elegans)では、接触非感受性についてのスクリーニングで見つかった複数の遺伝子の1つがmec-2で、ストマチン相同性ドメインをもつ膜内在性タンパク質をコードしている。今回我々は、SLP3(stomatin-like protein 3、別名Stoml3)に変異のあるマウスでは、皮膚の機械受容器の約35%が機械刺激に反応しないことを明らかにする。SLP3は哺乳類がもつmec-2相同体で、感覚ニューロンで発現されている。また、多くの感覚ニューロンにみられる機械受容イオンチャネルは、SLP3がないと機能しない。SLP3変異マウスでは、神経の損傷が原因で起こる接触時の痛みなどのような、触覚によって起こる行動も損なわれている。このようにSLP3は、皮膚のある種の機械受容器の機能に不可欠であり、今回のデータは、SLP3が哺乳類の機械刺激変換装置の必須サブユニットであるという考えを裏づけている。