Letter 衝突レーザーパルスによるプラズマ航跡場における電子の制御した注入と加速 2006年12月7日 Nature 444, 7120 doi: 10.1038/nature05393 レーザープラズマを利用した加速器では、強力なレーザーパルスを使って高電場(航跡場)を駆動し、この航跡場によって粒子を従来型の加速器の場合よりも非常に短い距離で高エネルギーにまで加速する。このような1メートル当たり数百ギガボルトという高い加速勾配は、小型の高エネルギー粒子加速器にとって有望である。最近、いくつかの実験によって、レーザープラズマ加速器が、100 MeVレベルでほぼ単色エネルギーのエネルギー分布をもつ高い質の電子ビームを発生できることが示された。しかしこのようなビームは、実用化の際に必要な安定性と再現性がない。それは、航跡場中に電子を注入する元になるメカニズムが高度に非線形な現象に基づいているため、制御がむずかしいからである。本論文では、電子の注入とそれに続く加速を、2番目のレーザーパルスを使って制御できることを実証する。2つのレーザーパルスが衝突すると前段加速が起こり、その結果として、電子の航跡場中への注入が引き起こされる。実験結果からは、この方法で得た電子ビームが、高い収束性(5 mradの発散角)、単色エネルギー(エネルギー幅は10パーセント未満)をもち、かつ調整可能(15 MeVと250 MeVの間で)であり、そしてこれが最も重要だが、安定であることが示されている。また、実験で観測した結果は、電子バンチ長が10 fsより短いことと合う。この安定で小型の電子源は、水のフェムト秒放射線分解など短いバンチが必要な応用、あるいは、高エネルギー電子による放射線治療または材料科学用のラジオグラフィーなど、高い安定性が必要な応用に大きな波及効果があると予測される。 Full Text PDF 目次へ戻る