Letter 骨形成タンパク質はヒトの脳腫瘍誘発細胞の腫瘍形成能を抑える 2006年12月7日 Nature 444, 7120 doi: 10.1038/nature05349 ヒトの脳腫瘍では、神経幹細胞の決定的な特性と脳内腫瘍誘発能とをあわせもつ、形質転換された発がん前駆細胞が同定されている。本論文では、骨形成タンパク質(BMP)が、ヒト神経膠芽腫(GBM)の幹細胞類似の腫瘍誘発前駆細胞の顕著な減少を引き起こすことを明らかにする。BMPの中でも、BMP4が最も強力な作用をもつ。in vitroでBMP4に一過性に曝露すると、移植されたGBM細胞は脳内GBMを発生させる能力を失う。ヒトGBM細胞を脳内に移植したマウスは100%が死亡するが、in vivoでBMP4を送達させると、腫瘍の成長とそれに伴う死亡が効果的に阻害される点が特に重要である。BMPは、ヒトGBMから単離した細胞で対応する受容体(BMPR)を活性化し、Smadシグナル伝達カスケードを誘導する。その後、増殖が抑制され、神経分化マーカーの発現が増加するが、細胞の生存率には影響はない。同時にクローン原性が低下し、CD133+集団が縮小し、GBM細胞の成長速度が低下することから、BMP4がGBMの腫瘍誘発細胞集団を縮小させることがわかる。これらの知見によって、正常な脳幹細胞の活性を制御しているBMP-BMPRシグナル伝達系が、GBM由来の幹細胞類似の腫瘍誘発細胞を阻害する重要な調節因子としても働いている可能性が明らかになり、またこの結果は、BMP4が細胞毒性をもたない新しい治療のエフェクターで、ヒトのGBMの成長や再発を防ぐのに利用できそうであることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る