Letter 胚性幹細胞の多能性を担うタンパク質相互作用ネットワーク 2006年11月16日 Nature 444, 7117 doi: 10.1038/nature05284 胚性幹(ES)細胞は多能性を示し、再生医療による治療に利用できる可能性もつ。多能性を分子レベルで解明すれば、幹細胞の基本的性質や細胞の再プログラミング過程が明らかになるはずである。胚細胞の表現型は細胞融合を介して体細胞に賦与され、この過程は、ES細胞の多能性維持に中心的な役割を果たすホメオドメインタンパク質Nanogによって促進される。NanogはOct4やSox2といった因子と協同して働いて、ES細胞の独自性を確立していると考えられている。今回我々は、マウスのES細胞でNanogの機能する場となるタンパク質ネットワークを探求した。自然な条件下でNanogのアフィニティ精製を行い、その後質量分析を行って、物理的に結合しているタンパク質を同定した。この方法を繰り返して、Nanogと結合するOct4などのいくつかのタンパク質の結合相手も同定し、この新たに見つかった成分が機能にかかわっていることを確認して、タンパク質の相互作用ネットワークを構築した。このネットワークは核因子を非常に豊富に含んでおり、これらの因子はそれぞれES細胞の維持に極めて重要であり、また分化の際に同時に制御される。また、このネットワークは複数のコリプレッサー経路につながっており、ネットワークに属する因子の直接的な転写標的と推定されている遺伝子によってコードされている多数のタンパク質で構成されている。この緊密なタンパク質ネットワークが、多能性を支える細胞モジュールとして機能していると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る