Letter 前頭皮質での空間的視覚処理に対する視床の影響 2006年11月16日 Nature 444, 7117 doi: 10.1038/nature05279 1つ1つの運動は、自分自身の感覚受容器を活動させる。したがって、自己運動の経過を見失わないようにすることは、感覚入力分析に欠くことのできない部分である。脳が自己運動の経過を追う方法の1つは、運動指令の内部コピーまたはその随伴発射をモニターすることである。この概念によって、ヒトが頻繁に急速なサッケード眼球運動を行っても安定な視覚世界を知覚できる理由を説明することができるだろう。つまり視覚系は、個々のサッケードの随伴発射によって、サッケードによる視界の変化を無視することが可能なのだろう。しかし、この概念には、随伴発射と視覚処理の間の結合という重要な証拠がまだ欠けている。本論文では、前頭皮質に投射する視床からの随伴発射によってその結合が作られることを示す。視床では、背内側核のニューロンが、中脳上丘から前頭皮質眼球野へサッケード随伴発射を中継する。前頭皮質眼球野では、ニューロンが随伴発射を使って、サッケード前に視覚受容野を空間的に移動させる。今回我々は、これらの2成分(随伴発射の中継経路と受容野移動のニューロン)が回路を作り、その中で随伴発射が受容野移動を駆動しているとする仮説を検証した。まず、サッケードが行われる際に、随伴発射の既知の時空間的な性質から、皮質ニューロンの空間的視覚処理の動的変化を予測できることを示した。次に、この関係が単なる相関でなく因果関係であることを、単一の皮質ニューロンを切り離して視床からの随伴発射を妨害すると、その空間的視覚処理が損なわれることで示した。したがって、前頭皮質ニューロンの視覚処理は、視床からの随伴発射入力に機能的に依存しながら時空間的に一致させられていることがわかった。これらの実験は、随伴発射と視覚処理を結びつける最初の証拠であり、視覚世界の安定性を生み出すのに好都合な脳内回路を記述するものであるとともに、ほかの感覚系において随伴発射を研究する枠組みを提供するものでもある。 Full Text PDF 目次へ戻る