Letter 大量の水がどっと流れる海底峡谷 2006年11月16日 Nature 444, 7117 doi: 10.1038/nature05271 大陸斜面は、沿岸帯と深海を隔てる険しく幅の狭い外縁である。海水準が低い状態のときには、地すべりや密度の高い堆積物を含んだ流れが大陸棚の外側と大陸斜面を侵食し、その結果海底峡谷が形成され、大量の堆積物と有機物がそこを集中的に通って浅海域から深海域へ流れ込む。今日のように海水準が高い状態のときでも、これらの峡谷では時々堆積物の重力流が生じるが、これは、堆積物の崩壊や河川の氾濫が引き金になって起こると通常考えられている。本論文では、地中海の北西部にあるリオン湾周縁部の海底峡谷における観測結果を示し、密度の高い大陸棚水の斜面滑降(DSWC)、つまり海水の密度差によってのみ駆動されるタイプの流れも、堆積物の重力流の引き金になりうることを実証する。この結果から、DSWCは大量の水と堆積物を輸送し、海底峡谷床を変形させ、急速に深海環境に影響を与えうることが明らかである。この斜面滑降は季節的であり、冷却と蒸発あるいはそのどちらかによる高密度水形成の結果生じ、高緯度と低緯度のどちらの大陸周縁でも起こる。したがって、DSWCによって大量の堆積物と有機物が深海に輸送されている可能性が考えられる。さらに、将来の気候変動によってDSWCの頻度と強度の変化が起これば、深海の生態系への有機物の供給と、大陸周縁上および大洋海盆中に貯蔵される炭素量に大きく影響するかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る