Letter H5N1インフルエンザウイルスのヒト型受容体への結合を可能にするヘマグルチニンの変異 2006年11月16日 Nature 444, 7117 doi: 10.1038/nature05264 H5N1インフルエンザウイルスは、アジア、ヨーロッパ、およびアフリカの多数の国に感染が拡大しており、家禽だけではなく、ヒトへの感染も増加して死亡例も多くなっている。ヒトと鳥のインフルエンザウイルスでは、宿主細胞の受容体の認識が異なっている。ヒトウイルスはガラクトースとα2,6結合したシアル酸(SAα2,6Gal)を糖鎖末端にもつ受容体を選択的に認識するが、鳥ウイルスはSAα2,3Galを糖鎖末端にもつ受容体を認識する。鳥インフルエンザウイルスがヒトで効率よく増殖し、世界的大流行を引き起こすようになるのに必要な変化の1つが、SAα2,3GalではなくSAα2,6Galを認識するようになることだと考えられている。受容体に結合するヘマグルチニン(HA)分子の変異(これにより、鳥のH5N1ウイルスが宿主細胞のヒト型受容体を認識できるようになる)を同定することによって、世界的に大流行するウイルスの出現を予測し、それによって、こうした流行への備えを強化することが可能になるかもしれない。本研究では、ヒトから分離されたいくつかのH5N1ウイルスが、ヒトおよび鳥の両方の受容体に結合できること、またこれとは対照的に、ニワトリとアヒルから分離されたH5N1ウイルスは、鳥の受容体のみを認識することを明らかにした。鳥の受容体のみを認識するH5N1ウイルスのHAの182番目あるいは192番目のアミノ酸に変異を導入すると、ヒトの受容体を認識するようになった。変異導入実験に用いたH5N1ウイルスのHAの結晶構造解析から、これらのアミノ酸の位置は、HAの受容体との結合に影響を及ぼすものであることが示された。今回我々が同定したアミノ酸の変異は、流行中のH5N1ウイルスが世界的大流行を起こす可能性を検討する分子マーカーとして役立つ可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る