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生態:野外において交尾後性選択は複数雄と交尾を行う雌の生涯適応度を上昇させる

Nature 444, 7115 doi: 10.1038/nature05206

雌は子を作るにあたって複数の雄と交尾することが多い。脊椎動物の野外研究で、雄が物質的な利益を何ももたらさないときでも、複数雄との交尾は子の生存率を向上させうることが示唆されており、無脊椎動物を使った実験研究でこのことが確証されている。この生存率向上は遺伝的利益によるところが大きく、より生存力が高い子を残す雄に父性(生まれた子の父親であること)が偏るときに生じる。野外研究では、交尾後性選択により、遺伝的な適合度が高い雄に受精が偏ることが示されており、条件を制御したある実験研究では、雌が血縁関係の近い雄とつがうときは、複数雄との交尾により、近親交配によりできる子の相対数を減らしていることが示されている。複数雄との交尾で得られる可能性のあるもう1つの利益としては、子の生存率の上昇がある。これは、より競争力が高い精子を射出する雄は生存力が高い子を残すことに起因する。しかし意外にも、このプロセスに関する決定的な証拠は得られていない。今回我々は、オーストラリアに生息する有袋類であるチャアンテキヌス(Antechinus stuartii)で雌に実験的に交尾相手を割り振ることにより、複数雄との交尾が子の生存率を大幅に向上させることを示す。精子競争下で高い父性を獲得する雄は、生存力のより高い子を残すことがDNAプロファイル解析によりわかった。この有利な効果は、実験室、野外のどちらでも起こる。極めて重要なことだが、チャアンテキヌスは事実上1回繁殖なので、ある特定の繁殖イベントで複数雄との交尾が雌の投資を増加させるような場合に生じると期待される、交絡要因となる非遺伝的母性効果は存在しない。したがって、我々の結果は、複数雄との交尾は、自然条件下において雌の生涯適応度を向上させていることを示している。3倍にも及ぶ子の生存率の向上は、母親の寿命短縮によって無効にはならず、また非常に大きいので、生存した子の繁殖能力が同程度に低下しても相殺されることはない。

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