Article 細胞:網膜芽細胞腫におけるp53経路の不活性化 2006年11月2日 Nature 444, 7115 doi: 10.1038/nature05194 ヒトのほとんどの腫瘍は、Rb経路およびp53経路に遺伝的な変異があるが、網膜芽細胞腫は例外であると考えられている。多くの研究から、網膜芽細胞腫は、retinoblastoma 1(RB1)遺伝子の変異によって始まり、網膜発生の間に本質的に細胞死抵抗性の性質をもつ細胞から生じるため、p53経路に影響されないと考えられてきた。この広く受け入れられている説とは異なり、本論文では、網膜形成過程でのRB1の喪失後にArf、MDM2、MDMXおよびp53を介する腫瘍監視経路が活性化されることを示す。RB1を欠損した網膜芽細胞は、p53を介するアポトーシスを起こし、細胞周期から外れる。しかしその後、RB1を欠損した網膜細胞では、腫瘍の進行の間にp53応答を抑制する機構として、MDMX遺伝子の増幅とMDMXタンパク質の発現の増加が強力に選択される。我々の結果は、網膜芽細胞腫ではp53経路が不活性化されていること、また、このがんはこれまでに考えられていたように本質的に細胞死抵抗性の細胞から生じるのではないことの証拠となる。さらに、今回の結果は、MDMXが網膜芽細胞腫治療のための化学療法薬の特異的標的であるという考えを裏づけている。 Full Text PDF 目次へ戻る