Letter

宇宙のリチウムの矛盾に対する、星による確実と思われる説明

Nature 442, 7103 doi: 10.1038/nature05011

マイクロ波宇宙背景放射の計測により、宇宙の宇宙論的パラメーターは強く制限されている。計測されたバリオン(通常の物質)密度を標準ビッグバン元素合成の計算と組み合わせると、ビッグバン直後に作られた水素、ヘリウムおよびリチウムの量を、これまでにない精度で予測できる。予測された初期のリチウム量は、古い星の大気で計測された値よりも2〜3倍高い。10〜25%の誤差を見込んでも、この宇宙のリチウム量の不一致は、恒星系物理学やビッグバンの元素合成、あるいはその両方に関する我々の理解の正当性に重大な異議を投げかけている。元素合成に対しては若干の変更が提案されたが、実現不可能であることが実験によってわかった。しかし拡散理論は、大気中の恒星の存在量が時間と共に変動すると予測し、これが矛盾の説明となる可能性がある。本論文では、金属量の少ない球状星団NGC6397における星の分光学的観測について報告する。これらの星では、さまざまな元素について、進化の段階に応じて大気中の存在量が変化する傾向がみられる。これらの元素特異的な傾向は、拡散および乱流混合を取り入れた恒星の進化モデルによって再現される。したがって我々は、古い星の大気におけるリチウム存在量が見かけのうえで低いのは、拡散が主な原因となってリチウムが星の深部へと輸送されたことによると結論する。

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