Letter コレステロールと脂質の恒常性のSREBPによる制御に必要なARC/Mediatorサブユニット 2006年8月10日 Nature 442, 7103 doi: 10.1038/nature04942 転写アクチベーターのステロール調節エレメント結合タンパク質(The sterol regulatory element binding protein=SREBP)ファミリーは、コレステロールと脂肪酸の恒常性を調節する重要な制御因子である。我々はこれまでに、ヒトSREBPがCREB-binding protein(CBP)/p300アセチルトランスフェラーゼのKIXドメインと結合して、まだ解明されていない機構でactivator-recruited co-factor(ARC)/Mediator co-activator複合体を動員することを明らかにした。今回我々は、SREBPが進化上よく保存されているARC105(MED15ともよばれる)サブユニットを使って標的遺伝子を活性化することを明らかにする。ARC105のSREBP結合ドメインの構造をNMRで解析したところ、CBP/p300のKIXドメインに非常によく似た3本ヘリックスバンドル構造が明らかになった。SREBPとは対照的に、CREBとc-Mybアクチベーターは、CBPのKIXドメインには結合するがARC105のKIXドメインには結合しない。このことから、構造的によく似たアクチベーター結合ドメインに意外なほどの特異性があることがよくわかる。線虫(Caenorhabditis elegans)のSREBP相同体であるSBP-1は、脂質生成酵素の発現を調節することによって、脂肪酸の恒常性を保っている。線虫のARC105相同体であるMDT-15も、SBP-1と同様に脂肪酸の恒常性維持に必要なことが判明し、SBP-1とMDT-15は両方とも、ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化を制御する遺伝子の転写を調節することが明らかになった。sbp-1やmdt-15に対するRNA干渉により、腸管の脂肪蓄積の阻害、不妊、小型化、運動速度の低下など、線虫にさまざまな異常が生じるが、餌にオレイン酸を添加するとこれらの異常が著しく改善されることから、オレイン酸量の制御がSBP-1とMDT-15の生理学的に重要な機能であることが示唆される。これらを総合すると今回の知見は、後生動物ではARC105がSREBPに依存した遺伝子調節と脂質の恒常性の制御における重要なエフェクターであることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る