Letter Bi2Sr2CaCu2O8+δにおける電子-格子相互作用と超伝導との相互関係 2006年8月3日 Nature 442, 7102 doi: 10.1038/nature04973 超伝導には電子ペア形成が不可欠である。従来型の超伝導体では、ペアリング機構をボソンモード(フォノン)が媒介していることがトンネル分光法によって確立されており、トンネル電流の2次導関数d2I/dV2のピークが各フォノンモードに相当する。しかし、高転移温度(高Tc)の超伝導では、ボソンが媒介する電子ペアリングは見つかっていない。その理由の1つは、電子ペア形成とそれに関係する電子-ボソン相互作用が原子スケールで不均一であり、そのため、性質の評価がむずかしいというものである。しかしごく最近、走査型トンネル顕微鏡法を使ったd2I/dV2分光法が進展したため、原子スケールでボソンモードを直接研究することが可能になった。本論文では、高Tc超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+δで行ったd2I/dV2イメージング研究について報告する。我々は、 d2I/dV2が予測どおり変調するほか、ナノメートルスケールで電子-ボソン相互作用エネルギーが無秩序に変動しているのを見いだした。正孔密度を変化させても、その平均モードエネルギーと変調はいずれも影響をほとんど受けないことから、ボソンモードは電子構造や磁気構造と関係がないことがわかった。このモードは局在格子振動のように見えるが、それはこの物質の16Oをすべて同位体の18Oに置換すると、平均モードエネルギーがほぼ6パーセント低下したからである。これは格子振動周波数に、この同位体置換が及ぼす効果の予測値と一致している。特に、モードエネルギーは超伝導ペアリングギャップエネルギーと常に空間的に相関していることから、このような格子振動モードと超伝導は相互に関係し合うことがわかった。 Full Text PDF 目次へ戻る