Letter プリオンのコンホメーションが株の表現型を決定する仕組みの物理学的基盤 2006年8月3日 Nature 442, 7102 doi: 10.1038/nature04922 タンパク質凝集の研究から、一般にタンパク質はミスフォールド(誤って折りたたまれること)によってさまざまな凝集形態をとりうるという法則が明らかになってきた。さらに、タンパク質凝集がもたらす表現型や病理的結果は、特定のミスフォールド形態に強く依存している。この顕著な例が、同じアミノ酸配列をもつタンパク質からなるプリオン粒子が異なる遺伝性の状態を生み出す、「プリオン株」という現象である。[PSI+]のような酵母プリオンや、哺乳動物プリオンを用いた研究データの積み重ねから、プリオンのコンホメーションの差異が異なるプリオン株を生じる基礎になっていると提唱されている。それにもかかわらず、ミスフォールドしたタンパク質のコンホメーション変化がなぜ生理学的影響を変えるのかは、いまだに十分に理解されていない。今回我々は、[PSI+]株の表現型が、プリオンの希釈効果、限られた量の可溶性タンパク質に対する競合、コンホメーションに依存したプリオンの成長と分割速度の差異の間の動的な相互作用からどのようにして生じるかを説明できる解析モデルを提示すると共に、その妥当性を実験によって調べた。酵母Sup35([PSI+]の決定因子となるタンパク質)の3つの異なるプリオン・コンホメーションとそれらのin vivoでの表現型の解析により、最も強力な表現型を生じるSup35アミロイドは成長速度が最も遅いという、意外な結果が明らかになった。しかし、このアミロイドではプリオンの分割を促進するもろさは増加しており、そのことが成長の遅さを上回る効果をもつ。凝集体に壊れやすい傾向があり、それによって新たな「種」が生成することは、感染性(プリオン)のアミロイドと、非感染性のアミロイドとの双方の生理学的な効果を決定する重要な因子である可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る