Article 四肢麻痺患者によるプロテーゼ装置のニューロン集団活動を介した制御 2006年7月13日 Nature 442, 7099 doi: 10.1038/nature04970 神経運動プロテーゼ(NMP)とは、麻痺患者の失われた運動機能を代替または回復する目的で、脳の損傷を受けた部位の周囲領域から運動関連信号を取り出し、それを外部の効果器に届ける装置である。無傷動物での前臨床的な結果を臨床的に有用なNMPに結びつけるには、運動信号が脊髄損傷後にも大脳皮質内に残っていなくてはならず、また、知覚入力や四肢運動が長期間失われていた場合でも、運動の意志にかかわっていなくてはならない。さらにNMPでは、運動企図で始まるニューロン活動を有用な課題遂行を可能にする制御信号に変換しなくてはならない。本論文では、四肢麻痺患者(MN氏)にNMPの試作装置を装着した初期の結果を示す。一次運動皮質に植え込んだ96本の微小電極アレイを通して、ニューロンの集団活動を記録することにより、手の運動の企図は、脊髄損傷後3年を経過した後でも、皮質の神経発火パターンを調節していることがわかった。MN氏が会話をしながらでも「神経カーソル」を動かしてシミュレーションの電子メールを開いたり、テレビなどの装置を操作したりできるような、デコーダを製作した。さらに、MN氏は神経制御で義手を握ったり開いたりすることも、多関節のロボットアームで基本的な行動を行うこともできるようになった。これらの初期成果は、皮質内のニューロンの集団発火活動を基礎にしたNMPが、麻痺患者が自活能力を取り戻すための価値ある新たな神経技術を提供する可能性を示唆するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る