Letter 低温電子トモグラフィーによるミオシンV阻害状態の3次元構造 2006年7月13日 Nature 442, 7099 doi: 10.1038/nature04719 非定型ミオシンV (myoV)はアクチン上を動く分子モーターで、細胞小器官やmRNAの輸送、また細胞内膜輸送に重要な機能をもつ。myoVは、ミオシンスーパーファミリーのメンバーとして初めてプロセッシブ(逐次前進型)であることが示されたものだ。つまり、1個のモータータンパク質が「腕」を交互に出してアクチンフィラメント上を何歩も「歩行」した後、フィラメントから離れる。全長myoVは低Ca2+濃度でアクチン活性化MgATPアーゼ活性が低いのに対し、積み荷結合ドメインを欠く発現構成物はCa2+濃度にかかわりなく高活性を示す。水力学データと電子顕微鏡像から、活性状態は伸びた形をとる一方、不活性状態はコンパクトであることが示されている。今回我々は、myoV不活性状態の3次元構造を初めて明らかにする。個々のmyoV分子は、アミノ末端のモータードメインとそれに続く6個のカルモジュリンが結合するレバーアームを含む頭部を2個もつ。頭部に続いて、二量体形成に必要なコイルドコイル・ドメイン(S2)とカルボキシ末端の球状積み荷結合ドメインがある。不活性構造では、myoVは頭部とS2のつなぎ目で折れ曲がって積み荷結合ドメインがモータードメインのATP結合ポケットの近くに来ており、ヌクレオチドの交換速度の低下によりATPアーゼの阻害が起こっている可能性が示唆される。アクチン結合界面はふさがれておらず、レバーアームはアクチンに強く結合した状態でよくみられる位置にある。この構造は、積み荷配達後のモーター回収が、拡散ではなくアクチンフィラメントの活発なトレッドミル的過程により起こっている可能性を示す。 Full Text PDF 目次へ戻る