Letter

ダイアピルに引き起こされた土星の衛星エンセラダスの再配向

Nature 441, 7093 doi: 10.1038/nature04821

エンセラダスは、土星を回る小さな氷衛星である。その南極領域は、地殻変動によって変形した若い地形からなり、異常に高い熱流束をもつ。この熱流束はおそらく、氷殻内部あるいはその下のケイ酸塩でできたコア内部の局地的な潮汐散逸による。表面の変形は、この潮汐加熱の結果生じた低密度の物質の湧出(ダイアピル作用)によるものらしい。本論文では、ホットスポットが現時点での極に位置するのは、低密度のダイアピルの存在による衛星の自転軸の再配向で説明できることを示す。もしダイアピルが氷殻中に存在すれば、その殻は比較的厚く、かなりの剛性を保持していければならない(約0.5 km以上の弾性厚)。もしダイアピルがケイ酸塩のコア中に存在すれば、エンセラダスには全球にわたって地表下に大洋が存在しないことになる。それは、自転軸の再配向が起こるには、コアがその上にある氷と結合していなければならないからである。再配向によって、観測される南極領域の変形に矛盾しない大きな(約10 MPa)地殻応力のパターンが発生する。我々は、表面の衝突クレーターの分布が、軌道運動の進行方向の半球とその反対側の半球で通常みられる非対称性を示さないと予測する。低密度のダイアピルは、おそらく観測可能な負の重力異常も生じさせる。

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