Article 北極海における新生代の古環境 2006年6月1日 Nature 441, 7093 doi: 10.1038/nature04800 新生代(6500万年前から現在まで)の北極海の歴史について、直接証拠に基づいて明らかにされていることはほとんどない。本論文では、北極海のロモノソフ海嶺での最近の調査で、400 m以深に及ぶ掘削を行って得られた堆積物コアから明らかになった新生代の古海洋学的記録を示す。この記録は、暁新世後期から始新世初期の間の温暖な「温室時代」の世界から、始新世中期から現在に至る、海氷や氷山に影響されたより寒冷な「氷室時代」の世界へと、北極海の古環境が遷移したことを示している。最近約14 Myr間の堆積速度は1000年当たり1〜2 cmであり、この速度は以前の研究で提案されていた速度に比べて著しく速い。また、新第三紀の記録からは、北極の寒冷化がグリーンランド氷床の拡大(約3.2 Myr前)と東南極氷床の拡大(約14 Myr前)に同調して進行したことが明らかになった。さらに、海氷や氷山によって運ばれた岩石片(ice-rafted debris; IRD)が、始新世中期(約45 Myr前)に初めて出現したという証拠が見つかった。これは、従来考えられていたよりも35 Myr程度早い。そしてIRDの出現前にあたるおよそ49 Myr前に、海面が淡水に覆われていたという証拠も見つかった。また、暁新世/始新世境界温暖極大期(約55 Myr前)の海面温度は、以前推定されたよりもかなり高かったようだ。今回見直された北極の寒冷化の開始時期は、 南極の寒冷化と同調しており、このことは気候変化が両極で対称的に起こるとする考えを支持するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る