Letter 10年間の草地実験にみる生物多様性および生態系安定性 2006年6月1日 Nature 441, 7093 doi: 10.1038/nature04742 人間が促進する生態系の単純化から、系内の種数によって生態系の機能がどのような影響を受けるのかという問題が注目されるようになってきた。今日、生物多様性は生態系の生産性に影響を与えることが知られているが、安定性への影響に関しては諸説ある。今回我々は、多様性?安定性仮説を検証するための長期野外実験を実施した。多年生草原種の数を直接操作する実験において10年間にわたってデータを収集する間に、生育期の気候にはかなりの変化があり、植物種の存在量および生態系の生産性には年次ごとのばらつきが生じた。生態系の地上植物の年間生産量は植物種数が多いほど時間的安定性が高まることがわかった。特にこの生態系の10年間の時間的安定性は、2年、5年、10年のいずれの間隔で評価しても、植物が多様であるほど有意に高く、実験が進むほど向上する傾向があった。生態系の安定性は、多年生植物バイオマスの指標である根量にも正の依存性を示した。多様性が増大すると、個々の種の時間的安定性は低下したが、ポートフォリオ(統計的平均化)効果および過剰生産効果(overyielding effect)によって生態系の時間的安定性は向上した。しかし、共分散効果の証拠は得られなかった。ある種の食餌(家畜飼料など)、生物燃料および生態系サービスは、生物多様性を用いることにより、さらに確実かつ効率的・持続的に供給されるようになる可能性があることを今回の結果は示している。 Full Text PDF 目次へ戻る