Letter 量子臨界点における次元低下 2006年6月1日 Nature 441, 7093 doi: 10.1038/nature04732 量子臨界点(QCP)、すなわち量子ゆらぎによってのみ引き起こされる絶対零度の相転移位置の近くにおいて電子基底状態どうしが競合すると、低次元系に非従来型の挙動が生じると予測される。2次元の理論によって、物質の新しい電子相はQCP近くで生じると予測され、それに基づいて、非フェルミ液体的挙動や高温超伝導など凝縮系物理における重要な未解決の問題に対する説明が提案されている。しかし、このような考えが適用された実際の物質は、系を構成する層の間に有限の電子結合が存在するため、通常3次元になってしまう。そのため、2次元的QCPはどのようなバルク3次元系の実験でも観察されておらず、次元低下機構は理論的な推測の範囲にとどまっている。本論文では、3次元モット絶縁体BaCuSi2O6におけるスピン3重項のボース‐アインシュタイン凝縮体が、QCPでの次元低下を実験で確かめられる例になるという証拠を示す。幾何学的にフラストレートした格子上でいくつかの相関が競合することにより、スピン1/2のCu2+対(スピン2量体)からなる各2次元層はQCPで互いから分離し、その結果3次元の場合とは明瞭に異なる線形のスケーリングを特徴とする2次元QCPが生じる。ここでは次元数の概念がまさに「創発的な」性質を帯びることになる。すなわち、各粒子は3次元の格子上を運動するが、それらの集団的な挙動はもっと低い次元の空間で起こるのである。 Full Text PDF 目次へ戻る