Letter

透過型電子顕微鏡を用いた磁気円二色性の検出

Nature 441, 7092 doi: 10.1038/nature04778

材料の光子吸収スペクトルが入射光の偏光に依存する場合、それは二色性を示すといわれる。X線磁気円二色性(XMCD)では、円偏光光子のヘリシティが磁化方向に対して反転したときに、磁場中の強磁性体または常磁性体の吸収断面積が変化する。X線吸収と透過型電子顕微鏡(TEM)における電子エネルギー損失分光の類似性はかねてから知られてきたが、そのような等価性を円二色性にまで拡張するためには、TEMの電子ビームをスピン偏極させる必要があると考えられてきた。しかし最近、理論的根拠に基づいて、この仮定はおそらく誤りであることが示された。今回我々は、TEMでの磁気円二色性の実験による直接検出について報告する。同じ試料から得た電子エネルギー損失磁気不斉二色性(EMCD)測定結果と、XMCDスペクトル測定結果を比較し、理論計算と合わせて、特定の散乱条件下の非弾性電子散乱によって試料の不斉原子遷移に関する知見が得られることを示す。この結果はナノメートルおよびそれ以下のスケールでの磁性の研究に大きな意味をもつと思われる。それは表面敏感な測定が特徴であるX線法と異なり、EMCDからは深さ情報が得られると同時に、ナノメートルスケールに至る空間分解能が得られる可能性もあるからである。

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