Letter ボルバキアの体性幹細胞ニッチ向性 2006年5月25日 Nature 441, 7092 doi: 10.1038/nature04756 ボルバキア(Wolbachia)は主要な節足動物群のすべてで生殖組織に認められる細胞内細菌である。この細菌は、ミトコンドリアの遺伝と同じように、雌の宿主から子孫に垂直伝播する。しかしボルバキアの系統は宿主系統とは対応しておらず、水平感染による伝播も生じていると考えられる。媒介動物として可能性が最も高いのは捕食寄生性昆虫だとされるが、水平伝播の機構はほとんどわかっていない。本論文では、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)に新たに導入されたボルバキアは複数の組織を越えて移動し、雌成虫の生殖細胞系に侵入することを示す。感染過程での細菌の移動パターンを調べることにより、ボルバキアはショウジョウバエ胚腺の体性幹細胞ニッチを通って生殖細胞系に達するとわかった。さらに今回のデータは、ボルバキアは感染期間の長い宿主の体性幹細胞ニッチに極めて多いことを示しており、この部位は効率的な垂直伝播にもかかわっていると考えられる。我々の知る限り、これは幹細胞ニッチに向性を示す細胞内寄生生物に関する最初の論文である。 Full Text PDF 目次へ戻る