Letter 微生物:熱水噴出孔に棲むチューブワームにおける内部共生細菌の水平伝播 2006年5月18日 Nature 441, 7091 doi: 10.1038/nature04793 絶対共生細菌の世代間伝播は宿主生物の生存に極めて重要である。熱水噴出孔に生息するある種のチューブワーム(ハオリムシ類、ヒトツヒゲムシ科)の幼生は共生細菌をもたず、消化器系を一時的にもつが、こうした構造は発生途上で失われ、成体になると共生細菌に栄養的に依存するようになる。したがってチューブワームは世代が変わるごとに、種に特異的な共生細菌の新たな侵入・定着が必要となる。今回我々は、チューブワームの共生細菌獲得のモデルを提示し、共生細菌の収容器官にあたる栄養体の発生について報告する。我々のデータは、生息場所に固着した幼生の発生途上のチューブ部分にこの共生細菌が侵入・定着し、宿主への侵入は皮膚を介して起こることを示す。この過程は幼若体の初期段階を通じて持続的に起こり、この期間中に中胚葉性組織から栄養体が形成される。幼若体の後期段階では、宿主の表皮や筋、未分化の中胚葉性組織で大量のアポトーシスが観察されたが、この現象は共生細菌の定着過程の停止と時期が一致していた。この巧みに調整された双利共生における共生細菌伝播過程の特徴の解明は、共生細菌獲得に関する従来とは別のモデルを提案するものであり、また病原性の細菌感染および有用な宿主-共生細菌相互作用の双方に共通する基盤機構を探るさらなる手がかりとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る