Letter 味覚:甘い「水の味」のTAS1R受容体に基づく説明 2006年5月18日 Nature 441, 7091 doi: 10.1038/nature04765 「水の味」とは、口からある化学溶液を除いた後に水によって起こる味覚の後印象(after impression)のことで、これは色のついた画像を注視した後に「白い」紙の上に表れる、色のついた残像に近い現象である。しかし色のついた残像とは違い、味覚の残効についてはよくわかっていない。1つの理論では、「水の味」とは順応現象であり、ある味の溶液への順応によって、次に示された水を味刺激ととらえてより起こると考えている。別の仮説では、すすぎによる刺激の除去が、味受容体をもつ味細胞に受容体に基づく明確なオフ応答を引き起こし、味覚認識を生じるとしている。本論文では、甘味阻害物質がすすぎ落とされたときに、甘い「水の味」が生じることを示す。ヒトの甘味物質受容体を発現した培養細胞の応答は、精神物理学的な応答と直接対応するもので、甘味物質受容体TAS1R2-TAS1R3ヘテロマーから水によるすすぎで阻害剤を除去すると、細胞が活性化され純水によって強い甘味の知覚を生じる。この「リバウンド」効果は、2つのアロステリックな構造をとれる甘味受容体が阻害剤によって強制的に平衡状態になっていたものが、すすぎによって阻害状態から解放され、一斉に活性状態にシフトするために起きる。 Full Text PDF 目次へ戻る