Article ATF3がToll様受容体4の負の調節因子であることのシステム生物学手法による同定 2006年5月11日 Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04768 宿主防御のためには自然免疫系が絶対的に必要だが、これがうまく制御されないと炎症性疾患に結びつく。この制御の一部は、マクロファージが分泌するサイトカインを介して行われる。免疫の調節は並はずれて複雑であり、システム的手法(コンピューターを用いて、広範囲にわたるハイスループット・データセットから調節ネットワークを予想する方法)によって調べるのが最適であろう。今回我々は、Toll様受容体(TLR)で活性化したマクロファージから得られた包括的なトランスクリプトーム・データセットをクラスター分析の手法により解析し、CREB/ATF転写因子ファミリーに属する転写因子(ATF3)によって制御されているようにみえる遺伝子グループを同定した。ネットワーク解析から、ATF3は転写複合体の一部であり、この複合体には核因子(NF)-κBファミリーの転写因子も含まれると予測された。ATF3による調節を受けると推定される遺伝子クラスターには、ATF3とNF-κBの結合部位が近い位置に並んで過剰に存在することがプロモーター解析から判明し、これはクロマチン免疫沈降法とDNAマイクロアレイとのハイブリッド形成によって確証された。このクラスターにはインターロイキン(IL)-6やIL-12bといった重要なサイトカインが含まれている。ATF3とRel(NF-κBの成分)が、マクロファージの活性化に応じてこれらの遺伝子の調節領域に結合することが明らかになった。Il6とIl12bメッセンジャーRNAの発現をATF3とNF-κBプロモーターの結合に応じた関数とする速度論的モデルでは、ATF3はIl6やIl12bの転写の負の調節因子であると予測される。この仮説は実際に、Atf3-ヌルマウスを用いて証明された。ATF3は、Il6やIl12bの転写を、クロマチン構造を変化させて転写因子の接近を妨げることで阻害しているらしい。ATF3自体はリポ多糖類によって誘導されるので、ATF3は負のフィードバックループの一部として働いて、TLR刺激による炎症応答を調節していると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る