Letter 神経堤の指定は原腸形成期に起こりPax7を必要とする 2006年5月11日 Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04684 神経堤は脊椎動物の頭部顔面骨格や末梢神経節の発生に重要な主幹細胞集団である。神経堤細胞は神経板と表皮の境界領域に沿って生じ、広範囲にわたって移動して末梢神経系のニューロンやグリア、色素細胞、頭蓋骨の硬骨と軟骨など、多くの細胞種を作り出す。神経堤の発生異常は口蓋破裂などのヒトの欠損症と関連する。従来、神経堤は神経性と非神経性の外胚葉や内胚葉の境界領域における相互作用によって形成されると考えられており、骨形成タンパク質(BMP)やWntタンパク質などの決まった因子が神経堤誘導物質として働くとされてきた。神経堤細胞を誘導する能力はステージ10以降に減退するが、in vivoでの神経堤の誘導開始時期についてはほとんどわかっていない。本研究では、神経堤の誘導は原腸形成期に、きちんとした神経板が現れるよりもかなり前に起こることを報告する。ニワトリの胚盤葉上層(ステージ3〜4)を非誘導条件下で移植すると、一部の領域が神経堤を作り出す細胞群として指定されることがわかった。この領域はステージ4+の間、転写因子Pax7を発現し、後に神経襞に取り込まれて神経堤の移動にかかわる。ニワトリ胚ではPax7の翻訳抑制が神経堤マーカーのSlug、Sox9、Sox10、HNK-1の発現を阻害することから、Pax7はin vivoでの神経堤形成に必要である。これらの結果は、神経堤の指定はこれまで考えられていたよりも早く開始され、中胚葉性および神経性組織とは独立して起こり、またPax7は神経堤発生において必須の役割を担っていることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る