Letter

眼窩前頭皮質ニューロンは経済的価値を符号化する

Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04676

経済的選択とは、複数の選択肢の中から1つを選ぶときの行動をいう。選択肢には本質的に「正しい」答えはなく、経済的選択は主観的な好悪による。この行動は、伝統的に経済分析学の研究対象だが、心理学でも大いに関心がもたれている。しかし、その基盤にある心的過程や神経機構については、よくわかっていない。ヒトや動物の選択の理論は「価値」の概念に土台を置いている。例えばサルに一粒のレーズンか一切れのリンゴを選ばせるとする。観察される行動から、サルはこの2つの選択肢のそれぞれの価値を定めて選択を行うことがわかる。しかし、脳のどこにどのような形でその価値が表現されているのかはわからない。本論文では、経済的選択の実行中に、眼窩前頭皮質(OFC)のニューロンが、提示された対象と選択された対象の価値を符号化していることを示す。OFCニューロンは、明らかに視覚空間的要素や運動応答と関係なく価値を符号化している。サルにAかBかを選ばせるとき、OFCニューロンは、Aを右にBを左に置いても、あるいはその逆に置いても、それとは関係なく2つの物の価値を符号化する。この性質は、価値に基づいて知覚や運動の過程が調節されるほかの脳領域とOFCを区別するものである。この結果は、経済的選択とは本質的に物品間の選択であって行動間の選択ではないという点で、考えられる心理学モデルに広くかかわってくる。この枠組みにのっとれば、OFCニューロンは経済的選択の基盤となる価値の付与を行う神経回路の有力な候補となるだろう。

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