Letter 新たに得られた放射性炭素測定年代による気候変動と人類移住および更新世末の大量絶滅との関連づけ 2006年5月11日 Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04604 更新世から完新世への移行期の特徴として、生態系の劇的な再編、種の再分布や絶滅が挙げられるが、この移行期のもので年代が確定している大型哺乳類の化石の数が十分でないことが、さまざまな原因との関連性を解明するうえでの障害となっている。本論文では、アラスカ-ユーコン準州(AK-YT)地域から出土した更新世後期の化石について公表済みの放射性炭素測定年代に、新たな年代値を多数追加し、これまで認識されていなかったパターンをいくつか示す。例えば、更新世を生き延びたステップバイソン(Bison priscus、進化してアメリカバイソンBison bisonとなる)やワピチ(Cervus canadensis、大型のシカ類)、ヘラジカ(Alces alces)といった動物種は、人類移住より前に個体数を増やし始め(ヘラジカの増え方はほかの2種ほどではない)、人類移住の最中も個体数を増やしていた。そして、これらの動物種の個体数増加は、ウマ(Equus ferus)やマンモス(Mammuthus primigenius)の地域的絶滅に先立って起こった。これらのパターンから少なくともAK-YT地域では、更新世末の絶滅に関する一部の仮説、すなわち、同時期の人類によって集中的に行われた大量狩猟や「キーストーン種」の捕獲・駆除、「古代病」などを原因とみる諸仮説を退けることができる。人類の影響は弱いとする仮説、および(あるいは)生態上の種の交替・移動に原因があるとする仮説のほうが、今回のデータとはよく一致する。今回得られた測定年代の新パターンは、餌に恵まれた特異な移行期の最中に生態的ふるい分けが急激に進み、それが人類を含む大型哺乳類すべてに影響を及ぼしたことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る