Letter 海洋島のヤシにみられる同所的種分化 2006年5月11日 Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04566 種の多様性の起源は200年以上にわたって生物学上の難題となっている。地理的隔離の結果生じた種分岐である異所的種分化に関しては、十分な説明が行われてきた。しかし、地理的隔離によらない分岐である同所的種分化は激しい議論の的となっている。同所的種分化を主張する場合、種の同所性、系統発生上の姉妹関係、および生殖的隔離を実証し、かつて異所的な状態があったとは極めて考えにくいことを示す必要がある。本論文では、海洋島の2種のヤシ科植物に関する事例研究により、同所的種分化を明確に裏づける証拠を提出する。年代つきの大規模な系統樹により、ケンチャヤシ属の2種(どちらもロードハウ島という孤島の固有種)が姉妹分類群であり、690万年前にこの島が形成されてしばらく経った後に種分岐したことが示された。現地調査では、土壌選好性と相関して開花期の大きな分離が認められた。また、ゲノム解析からは、両種の間には中立説から予想される以上の差をもつ遺伝子座がほとんどないことが示された。この知見は分断/分岐選択が関与する同所的種分化のモデルと整合するものである。植物の同所的種分化に関するこの事例研究は、種の起源の理論モデルを改良する機会をもたらすとともに、例となりそうな動植物の海洋島での探索に対する新たな促進材料となる。 Full Text PDF 目次へ戻る