Letter

人間活動が強制力となった熱帯太平洋上の大気循環の弱まり

Nature 441, 7089 doi: 10.1038/nature04744

19世紀中頃から地球表面は温暖化しており、モデル研究からは温暖化の一部が人間活動による大気放射バランスの変化によって引き起こされたことが示されている。また単純な理論から、地球温暖化によって平均的な熱帯大気循環が弱まることが示唆される。熱帯循環の重要な性質の1つは、赤道太平洋にわたって起こる大規模な東西方向の大気の鉛直循環運動である。これは、西側での対流活動と東側での沈降流が駆動するもので、ウォーカー循環として知られている。本論文では、19世紀中頃からの熱帯太平洋における大気循環の変化を、観測結果と一連の全球気候モデル実験を用いて調べた。そして、太平洋とインド洋の海面気圧の観測値から、ウォーカー循環が弱まっていることがわかった。この傾向の大きさは理論的な予測と一致し、気候モデルによるシミュレーションで正確に再現され、モデルの範囲内では人間活動の与える強制力が主な原因となっている。気候モデルは、地表風速が弱まることで熱帯太平洋の熱的構造と循環が変化することを示している。これらの結果は、21世紀を通じて熱帯の大気循環がさらに弱まるというモデルの予測結果を裏づけるものである。

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