Letter ヒト以外の霊長類でのRNAiによる遺伝子サイレンシング 2006年5月4日 Nature 441, 7089 doi: 10.1038/nature04688 RNA干渉(RNAi)経路を使って疾患の原因となる遺伝子をサイレンシングできれば、現在の薬剤では効果のない標的を対象とした治療法を開発できる可能性が非常に高い。in vivoでの低分子干渉RNA(siRNA)の局所送達後に標的遺伝子がサイレンシングされた例は多数あるが、siRNAの全身的送達後のRNAiによるサイレンシングについては2、3例の報告があるだけで、げっ歯類以外では全身的有効性についての報告はない。本論文ではsiRNAをリポソームに封入してヒト以外の霊長類で全身的に送達すると、疾患標的となるアポリポタンパク質B(ApoB)のサイレンシングが起こりうることを示す。安定な核酸脂質粒子(SNALP)カプセル中にAPOBに特異的なsiRNAを封入し、1または2.5 mg/kgの投与量でカニクイザルに静脈内投与した。siRNAの単回投与では、投与48時間後の肝臓内でAPOBのメッセンジャーRNAの発現に用量依存的なサイレンシングが起こり、その最大値は90%を超えた。このサイレンシング効果は、RNAiの作用機構から予想されたのとまったく同じ部位でAPOB mRNAが切断されて生じたものである。投与24時間後には早くもApoBタンパク質、血清コレステロールおよび低密度リポタンパク質の血中濃度が有意に低下し、最高用量のsiRNAでは低下が11日間持続したことは、siRNAによる治療が即効性と持続性のある強力な生物学的作用を示すことを実証している。これらの知見は、臨床的な意味をもつRNAiを介した遺伝子サイレンシングがヒト以外の霊長類でみられたことを示すものであり、RNAi治療が新たなクラスの薬剤となりうることを裏づけている。 Full Text PDF 目次へ戻る