Letter 配偶者選択と装飾形質の共進化の基盤となる遺伝機構を野生条件下で検証する 2006年5月4日 Nature 441, 7089 doi: 10.1038/nature04564 進化生物学で最も議論が盛んな問題の1つに、雄の魅力や高い総体的生存力をコードする遺伝子にかかる選択への相関的応答として、派手な性的ディスプレイをもつ雄を志向する雌の好みが進化しうるか、というものがある。現在までのところ、実証研究はこのシナリオの一部を裏付けているものの、自然個体群におけるすべての重要な遺伝的成分にかかわる証拠は存在しない。今回我々は、フィッシャーのモデルと「優良遺伝子」モデルの両方で重要とされる性選択の遺伝的要件のすべてについて、野生条件下で定量化するため、24年間にわたり8,500羽以上のシロエリヒタキ(Ficedula albicollis)から得られたデータに、アニマルモデル量的遺伝解析法を適用した。その結果、雄の装飾(額の白斑サイズ)、この装飾を志向する雌の配偶者選択、雄の適応度、雌の適応度といった主要な成分すべてで有意な相加遺伝分散が確認された。しかしながら、これらの成分間には必然的に遺伝的相関があることを考慮に入れると、雌の配偶者選択にかかる間接的性選択の算定強度は極めて小さかった。我々の結果は、野生条件下では、いくつかの遺伝的成分に環境が及ぼす複合的な効果が、間接的性選択の力を弱めていることを示している。本研究は、ある装飾を好むような配偶者選択をコードする遺伝子が、その装飾をコードする遺伝子に「便乗」してともに進化するのではなく、おそらく独自の経路により進化することを示しており、これは性選択の分野を探る1つの糸口となる。 Full Text PDF 目次へ戻る