Letter 生態:サンゴ礁の多様性から生物多様性の中立説を論破する 2006年3月2日 Nature 440, 7080 doi: 10.1038/nature04534 世界規模で起きているサンゴ礁の減少から、これらの生態系で群集構造を制御し多様性を維持する仕組みを解明する必要性が高まっている。生物多様性の中立説では、個体は種に関係なく個体群統計学的に同一のものだという前提のもとで、群集構造や生物多様性パターンの普遍的特性を説明しようとする。今回我々は、インド洋-西太平洋海域におけるサンゴ礁群集の種レベルの大規模データセットを使って、中立説による予測を検証した。そして、サンゴ群集においては、群集の類似度パターンや種の相対的数度が中立説モデルの予測と大きく違っていることを示す。局所的群集の内部においては、中立説モデルは古典的な対数正規分布だけでなく、相対的数度分布にも当てはまらない。複数の局所的群集を横断する種の相対的数度も、中立説の予測と大きく違っている。サンゴ群集の群集類似度の値は、中立説で生じうるよりもはるかに変動しやすく、平均して低くなるのである。実際に得られる群集類似度は中立説モデルから逸脱し、その逸脱の方向は中立説に対する従来の批判で言われていたのとは逆の向きとなる。それどころか、我々の得た結果は、環境の時空間的な偶然性がサンゴ礁における多様性パターンの主要因であることを裏づけている。 Full Text PDF 目次へ戻る