Letter 医学:熱帯熱マラリアではvar遺伝子プロモーターが毒性遺伝子の対立遺伝子排除を制御する 2006年2月23日 Nature 439, 7079 doi: 10.1038/nature04407 細胞表面タンパク質の表現型の変動を生じさせるために、多くの生物が遺伝子ファミリーの単一対立遺伝子の発現を使っている。アピコンプレックス門に属する寄生虫でヒトの重症マラリアの原因となる熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparumの、高い多型性を示すPfEMP1(P. falciparum erythrocyte membrane protein1)の抗原性変異がこのよい実例である。PfEMP1は、免疫回避と血管内での原虫の隔離に中心的な役割を果たしている重要な毒性因子の1つで、60個からなるvar遺伝子ファミリーによってコードされる。PfEMP1の相互排他的な発現は、クロマチンの修飾やvar遺伝子座の核周辺への再配置といったエピジェネティックな機構によって制御されている。今回我々は、安定的に受け継がれてきた抑制クロマチンの核形成と拡大に、varプロモーターがかかわることを明らかにした。このプロモーターの転写活性化は、染色体末端クラスターに伴って核周辺域で起こる。さらに、導入遺伝子をvar遺伝子の発現の対立遺伝子排除プログラムへと組み込むには、varプロモーター配列の働きだけで十分で、この導入遺伝子の転写を活性化すると、内在性のvar遺伝子の転写のサイレンシングが起こる。これらの結果は、この毒性遺伝子ファミリーのエピジェネティックなサイレンシングと単一対立遺伝子転写にはvarプロモーターがあるだけで十分であることを示しており、これは熱帯熱マラリア原虫の抗原性変異を解明するのに重要である。またこの研究で得られたPfEMP1ノックダウン原虫は、熱帯熱マラリア原虫の毒性や免疫回避の解明を進める際の重要な材料となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る