Letter 気候:冬季の森林土壌の呼吸は気候と微生物群集の組成によって制御される 2006年2月9日 Nature 439, 7077 doi: 10.1038/nature04555 北半球の中緯度地域における炭素隔離のほとんどは、季節変化のある山地林の生態系で起こっている。これらの生態系からの呼吸による冬季の二酸化炭素の損失量は大きく、夏季の光合成過程によって同化された炭素の半分以上がその年の冬に失われることがある。固まった積雪が浅いと断熱能が小さくなり、そのため土壌温度が低下して、土壌の呼吸速度が下がる可能性があるので、結果として冬季の二酸化炭素損失量は、固まった積雪の深さの変動の影響を受けると思われる。近年の気候解析によると、米国とヨーロッパの山岳生態系における冬季の固まった積雪量は、気温の異常な上昇と連動して広範囲にわたって減少していることがわかっている。本論文では、気候の自然変動条件下で、積雪の変化が土壌の炭素循環に与える影響について調べた。亜高山帯森林における生態系での二酸化炭素の正味交換量の6年間の記録を用いたところ、冬季の固まった積雪量が少ない年には土壌呼吸速度がかなり小さいことが明らかになった。さらに、土壌呼吸速度が雪の深さの変化に大きく影響される原因は、雪の下の低温でも指数関数的に増殖し高い基質利用率を示す、独特の土壌微生物群集であることを示す。これらの観察結果は、気候が温暖になると森林生態系では断熱材となる積雪の深さが変化するために、土壌による炭素の隔離効率が変化する可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る