Letter 生化学:マラリア原虫のDuffy抗原結合様ドメインによるDuffy抗原の認識の構造基盤 2006年2月9日 Nature 439, 7077 doi: 10.1038/nature04443 マラリアでは、赤血球への侵入と細胞接着という発病特性を制御する分子過程は、マラリア原虫に特異的なDuffy抗原結合様ドメイン(DBL)の働きによっている。システインの多いこのモジュールが、発病過程で宿主細胞表面のさまざまな受容体を認識する。原虫の赤血球結合タンパク質のDBLは侵入にかかわり、抗原性変異体である熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)赤血球膜タンパク質1(PfEMP1)のDBLは細胞接着に関係するとされてきた。サルの二日熱マラリア原虫(P. Knowlesi )とヒトの三日熱マラリア原虫(P. vivax )は、必ずヒトの赤血球のDARC(Duffy antigen receptor for chemokines)受容体を介して赤血球に侵入する。本論文では、ヒト赤血球への侵入の際にDARCに結合する二日熱マラリア原虫のDBLドメイン(Pkα-DBL)の結晶構造について報告する。Pkα-DBLは、熱帯熱マラリア原虫赤血球結合抗原(EBA)-175のDBLに見られる全体的な折り畳み方を保持している。これまでに結合にかかわると考えられてきた残基の位置から、Pkα-DBLのサブドメイン2にかなり平たい露出したDARC認識部位があることがはっきりするが、これはEBA-175の受容体認識とは著しく異なっている。Pkα-DBLでは、DARCと接触する残基と免疫圧力を受ける残基群とはそれぞれDBL表面の異なる側に位置しており、三日熱マラリア原虫の免疫回避機構がどのようなものかが推察される。このPkα-DBLと熱帯熱マラリア原虫EBA-175の構造の比較解析は、マラリア原虫のDBLの働きを解明する基礎となり、新しいマラリア予防法や治療戦略の開発に役立つだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る