Letter 生理:ホールセルパッチクランプ法による精子の測定で明らかになったアルカリで活性化されるCa2+チャネル 2006年2月9日 Nature 439, 7077 doi: 10.1038/nature04417 哺乳類では、精子細胞は射精の際に運動性を獲得し、雌の生殖管を泳いで上る。受精前にさまざまな障害を乗り越えるためには、運動性の超活性化、すなわち活発で非対称的な打ち方を特徴とする尾の運動が起こる必要がある。超活性化には、鞭毛内のカルシウム濃度の上昇が必要であり、それにはおそらく細胞膜のイオンチャネルがかかわると思われる。この20年間、精子細胞のイオンチャネルを解明しようとさまざまな試みが行われてきたが、膜を通るイオン電流の測定が困難なために、失敗に終わってきた。今回我々は精子のパッチクランプ測定を行い、精子のホールセル電流を調べるという単純な方法で、構成的に活性で細胞内のアルカリ化によって活性が非常に強まる鞭毛のカルシウムチャネルを明らかにする。この電流は、精子特異的なイオンチャネルタンパク質と推定されるCatSper1を持たない精子には存在しない。CatSper1は6回膜貫通型イオンチャネルスーパーファミリーに属する膜タンパク質で、精子尾部の主要部分に特異的に局在し、精子細胞の超活性化と雄の妊性に不可欠である。今回の結果はCatSper1が鞭毛カルシウムチャネルの重要な成分であることを示しており、細胞内のアルカリ化によってCatSper1電流が増強されて鞭毛内のカルシウムが上昇し、精子の超活性化を引き起こすと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る