Letter 細胞:ClpSは大腸菌のN末端則経路の重要な構成成分である 2006年2月9日 Nature 439, 7077 doi: 10.1038/nature04412 N末端則とは、タンパク質の半減期がアミノ末端残基の性質によって決まるというもので、真核生物も原核生物も、N末端の不安定なアミノ酸残基をシグナルとして用いることにより、当該タンパク質をN末端則経路で分解させている。真核生物では、E3リガーゼであるN-レコグニン(recognin)がN末端則に該当する基質を認識してユビキチン化し、プロテアソームによって分解させる。大腸菌ではN末端則の基質は、AAA+ファミリーのシャペロンClpAがClpPペプチダーゼと形成する複合体(ClpAP)により分解される。分解のためにまずN末端則基質を選び出す分子機構はほとんど解明されていない。今回、細菌でのClpAPによるN末端則基質の分解に、ClpAP特異的アダプターであるClpSが必要なことが明らかになった。ClpSは、ClpS-ClpA相互作用面とは離れた位置にある基質結合部位を介して基質のN末端にある不安定化アミノ酸に直接結合し、この基質をClpAPによる分解の標的とする。N末端則経路による分解は予想以上に複雑で、N末端付近の正味の正電荷や、N末端シグナルと折り畳まれた基質タンパク質の間の構造化されていない領域など、他の要素もいくつか関係している。ClpSは、N末端シグナルとの相互作用を通してClpAP装置を、きちんと制御されたタンパク質分解に最適な極めて高い特異性を持つプロテアーゼへと変換している。 Full Text PDF 目次へ戻る