Letter 医学:A型インフルエンザウイルス粒子内のRNA-核タンパク質複合体の構造 2006年1月26日 Nature 439, 7075 doi: 10.1038/nature04378 ウイルスも真核生物と同様に、ゲノムを保護し、適時に複製し、確実に子孫へ伝達するための巧妙な仕組みを進化させてきた。A型インフルエンザウイルスは、直径約80〜120 nmの球形または繊維状のウイルスである。外被の中には、890〜2,341塩基の長さの8本の一本鎖RNA(マイナス鎖)からなるゲノムが入っている。この8本のRNAは、核タンパク質やPA、PB1、PB2と呼ばれる3個のポリメラーゼサブユニットと結合しており、こうしてできたRNA-核タンパク質複合体(RNP)は細長い棒を折り返してより合わせたような形になっている(太さ10〜15 nm、長さ30〜120 nm)。ウイルスの感染後期には、新たに合成されたRNPが核から細胞膜へと運ばれ、ウイルス粒子内に取り込まれることで、感染性のある子孫ウイルスが作られる。今回我々は、ウイルス粒子を透過電子顕微鏡で観察することにより、A型インフルエンザウイルス内に存在するRNPが独特な形に配置されていることを明らかにした(中心となる1本のRNPの周りを、長さの異なる7本のRNPが囲む)。個々のRNPは、出芽するウイルス粒子の遠位端の外被内側に結合し、垂直に吊り下げられたように配置されていた。これは、RNPがウイルス粒子にランダムに取り込まれるという見方に反する観察結果であり、各RNA断片が持つ特異的な取り込みシグナルによりRNPが一揃いのセットとしてまとまって取り込まれるというモデルの裏付けとなる。複製を繰り返してもウイルスゲノムを完全に保つためには、このようなRNPの選択的取り込み機構と、8本のRNPの独特な配置が不可欠らしい。 Full Text PDF 目次へ戻る