Letter

細胞:ショウジョウバエ成虫の後部中腸は多能性幹細胞によって維持されている

Nature 439, 7075 doi: 10.1038/nature04333

脊椎動物や無脊椎動物の消化器系は、その発生、細胞構成および遺伝的制御において広範な類似性を示す。ショウジョウバエ(Drosophila)の中腸はその典型例であり、腸細胞が単層腸上皮の大部分を構成しているが、ホルモンを産生する腸内分泌細胞も腸細胞の中に散在している。ヒト(およびマウス)の腸の細胞は幹細胞によって継続的に補給されており、幹細胞の調節異常がいくつかの一般的な消化器疾患や癌の原因となっている可能性がある。対照的に、ハエの腸においては幹細胞の存在は報告されておらず、ショウジョウバエの腸の細胞は比較的安定であると考えられている。本論文では、標識付けによる細胞系譜の追跡により、ショウジョウバエ成虫の後部中腸細胞が特定の腸幹細胞(ISC)集団によって継続的に補給されていることを示す。脊椎動物と同じく、ISCは多分化能を持ち、適切な割合の腸内分泌細胞の産生にはNotchシグナル伝達が必要である。Notchはまた、ISCの娘細胞の分化にも必要であるが、この役割は脊椎動物においては明らかになっていない。特異的な相互作用相手である間質細胞を含んだニッチに存在する幹細胞がこれまでに明らかになっているが、それらと違ってISCは、基底膜、分化した腸細胞および自身の最も新しい娘細胞に接するのみである。脊椎動物の同等細胞と顕著な類似性を持つショウジョウバエの腸幹細胞の同定により、正常および異常な腸機能の遺伝的解析が促進されると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度