Letter

細胞:損傷を受けた鋳型上でのDinB DNAポリメラーゼの活性促進は1個のアミノ酸によって制御される

Nature 439, 7073 doi: 10.1038/nature04318

YファミリーのDNAポリメラーゼによる損傷乗り越え複製(TLS)は、DNA損傷に耐えるための主な機構である。TLSは、シクロブタン環を持つピリミジン二量体をDNAポリメラーゼη(XP-VあるいはRad30)が回避する場合のように正確に行われる場合も、DNAポリメラーゼV(UmuD'2C)が光産物(6-4)TTを回避する場合のように誤りが起こりやすい場合もある。DinBはすべての生物で保存されている唯一のYファミリーDNAポリメラーゼだが、これほど広く保存されている生物学的理由は不明だった。本論文では、大腸菌がデオキシグアノシン(dG)のN2位に付加物を形成する一部のDNA損傷試薬に対して抵抗性を持つには、dinB遺伝子が必要なことを明らかにする。DinB(DNAポリメラーゼIV)は、このようなN2-dG付加物の1つ(N2-フルフリル-dG)のところでTLSが正確に起こるよう触媒することがわかった。DinBとその哺乳類オーソログであるDNAポリメラーゼκは、N2-フルフリル-dGに相対する位置に、損傷を受けていないdGの場合の10から15倍もの高い触媒効率でデオキシシチジン(dC)を挿入する。また、DinBやその古細菌ホモログであるDbhにおいて、「立体構造のゲート」となる1個のアミノ酸を変異させると(DinB:Phe13→Val、Dbh:Phe12→Ala)、損傷を受けていない鋳型を複製する酵素作用はそのまま残るが、N2-dG付加物に対するTLSを行う作用が失われた。DinBとそのオーソログは、自然界に広く見られるN2-dG付加物に対応する位置で起こる比較的正確なTLSを特異的に触媒すると考えられる。この損傷回避は、損傷を受けていないDNAに対して起こる合成よりも効率がよく、またその特異性を生む要因の1つは、損傷が誘起する立体構造の変化だろうと考えられる。

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