Article 生化学:ErbB受容体のタンパク質相互作用ネットワークのタンパク質マイクロアレイを使った量的解析 2006年1月12日 Nature 439, 7073 doi: 10.1038/nature04177 上皮増殖因子受容体(EGFR;ErbB1とも呼ばれる)やその近縁の受容体が始動させるシグナル伝達ネットワークは、最も詳しく研究されているものの1つだが、ゲノム全体にわたった観察は、その最も初期の段階、すなわちタンパク質が活性化された受容体へと召集される段階についてさえ行われていない。今回、ヒトゲノムにコードされている実質上すべてのSrcホモロジー2(SH2)ドメインとリン酸化チロシン結合(PTB)ドメインとで構成された、タンパク質マイクロアレイを使って、4種類のErbB受容体上にある生理的チロシンリン酸化部位に相当する61種類のペプチドと各ドメインと間の平衡解離定数を測定した。我々は77,592通りの独立した生化学的測定を行い、タンパク質相互作用ネットワークを定量的に明らかにした。これにより多くの新しい相互作用が判明し、その中には、これまでのドメイン選択性の枠から外れたものもあった。このネットワークを親和性について閾値を変えて解析してみると、受容体の間に意外な差異があることがわかった。特に目立つのは閾値が低くなるにつれてEGFRとErbB2の選択性が著しく低くなることだが、ErbB3にはこの傾向はなかった。EGFRとErbB2はヒトの多くの癌で過剰に発現されているので、今回の結果から、タンパク質の濃度に応じて相互作用の相手の選択性がどの程度変化するかが、受容体チロシンキナーゼの発癌作用にかかわっていると考えられる。おそらく他のシグナル伝達タンパク質についても同様なことが言えるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る