Letter 細胞:機能をもった乳腺の1個の幹細胞からの生成 2006年1月5日 Nature 439, 7072 doi: 10.1038/nature04372 乳腺幹細胞(MaSC)は、マウスで上皮断片を移植すると乳腺が再生することを根拠に、その存在が予測されてきた。MaSCへの関心は、これが乳癌の発生に関係する可能性があることからさらに高まったが、MaSCの同定と精製は、確固たるマーカーがないために困難であることが判明している。我々は、細胞表面マーカーに基づいてマウスの乳腺細胞から異なった細胞群を分離し、移植によってMsSCが非常に豊富な、ある1つの細胞群(LIN-CD29hiCD24+)を同定した。本論文では、導入遺伝子LacZをマーカーとして持つ1個の細胞から、in vivoで完全な乳腺が再生できることを明らかにする。この移植細胞からは、妊娠中に腺腔系の細胞と筋上皮系の細胞両方が生じ、機能を持った腺葉構造単位ができる。これらの細胞の自己複製能力は、増殖させたクローンを繰り返し移植することによって実証された。乳癌にMaSCが関与している可能性を裏付けるように、MMTV-wnt-1マウス由来の前癌組織ではこの幹細胞を多く含む細胞群が大きくなっていて、しかもMaSCの含有数も多くなっていた。これらのデータからは、LIN-CD29hiCD24+細胞群に属する1個ずつの細胞に、多能性と自己複製能力というMaSCの定義づけの根拠となる性質があることが、明確に示される。 Full Text PDF 目次へ戻る