Letter 生物物理:FTIR差スペクトル分析で観察したタンパク質内プロトン移動における機能性水分子 2006年1月5日 Nature 439, 7072 doi: 10.1038/nature04231 表面での水分子の反応、気相水クラスター中でのプロトン溶媒和や液体中でのプロトン移動の解明は大きく進んでいる。しかしこのような物理化学的な系の解明の進展に比べて、酵素反応にかかわる複数の異なるタンパク質内での個々の水分子の挙動、あるいは水分子の協調的な挙動については、解明がほとんど進んでいない。本論文では、時間分解フーリエ変換赤外分光法(trFTIR)とin situ H218O/H216O交換FTIR法を使って、膜タンパク質であるバクテリオロドプシンが、強く水素結合した水分子、ダングリング状態のヒドロキシル基をもつ水分子、およびプロトン化した水クラスターの間の相互作用によってプロトンを移行させる仕組みを明らかにした。タンパク質マトリックス中での水分子の正確な配置により、液体水中で起こるランダムなプロトン移動とは対照的な、Grotthussタイプの制御されたプロトン移動が起こる。今回の知見は、タンパク質内にある水分子がアミノ酸と同様に生物学的機能に不可欠な役割を果たすという、最近の考え方を裏付けている。 Full Text PDF 目次へ戻る